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可能性のよき断念 ーあきらめるって悪いこと?ー

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「あきらめるな」とよく言います。
だから誰でもあきらめさえしなければ夢がかなうような気がしてきますが、そんなことはあまりない。
頑張れば何でもできると思うのは幻想だと僕は思う。
成功した人にインタビューするからそうなるのであって、失敗者には誰もインタビューしてないじゃないですか。
人間は、生まれ落ちた時からものすごく不平等なものです。
国籍も容姿も選べない。
親も子供も選べない。
配偶者だって、2,3の候補の中から選ぶのがせいぜいで、それでもいいくらいのものでしょう?
つまり限界だらけで僕らは生きているわけで、そんなにうまくいかないのが普通なんです。
その普通がいいんだと思わなければ、挫折感ばかり抱えて心を病んでしまう。
僕は一握りの成功者が「頑張れば夢はかなう」というのは傲慢だと思っています。
多くの人が前向きに生きるには、可能性のよき断念こそ必要ではないでしょうか。
山田太一 談

 

この文章は、かつてのにちゃんねるから拾ってきたものなので、本当に山田太一氏の談話なのかはわかりません。

でも心身ともに疲れ切っていた時にこの文章を目にし、以来、私の中ではバイブルのような言葉です。

特に最後の一文は衝撃でした。

可能性のよき断念”……

可能性のよき断念ってなんだ?

可能性の断念、ならわかる。
早い話が「あきらめる」ってことだよね。

でも「よき」断念ってなに?

「良くあきらめる」ってこと?

良くあきらめるなんて、そんなことできるの??…意味が分からない!

と、大いに混乱しながらも、何度も何度も読み返したものです。

 

かなえたい夢をあきらめる。

とても辛いですね。

あんなに頑張ったのに、まだ努力が足りなかったのか。
何がいけなかったのか。
あの時ああしていれば。あんなことがなければ。
いいや、人のせいにしちゃいけない。
寝てるヒマなんてない。
勉強が足りない。
努力が足りない。
もっと頑張らねば。
もっと頑張らねば。
もっと、もっと頑張らなければ…!

…というのが、だいたいの“挫折感ばかり抱えて心を病んでしまう”人のパターンだと思います。

私がそうでした。

明らかに高すぎる目標を掲げ、明らかに自分よりレベルの高い人を比較モデルにし、できないのは自分の努力が足りないせい、頑張りが足りないせい、達成できなければ自分は負け犬!と、追い込み続けてやがて力尽きました。

30代の半分以上は、ほぼ棒に振ったと言ってもいいぐらい、建設的なことは何もできませんでした。

そんな時に出会った、冒頭の文章。

うまくいかないのが普通

…ああ、そうか。

私がうまくいかなかったのも普通なんだ。

それが普通なんだから、挫折感を抱え込む必要なんてないんだ…

そう考えられたのは、回復への一助となっていたと思います。

必ずしも“頑張れば夢はかなう”わけではない

そこにも大いに納得できましたが、問題は最後の一文です。

“可能性のよき断念”とはいったい、どういう意味だろう…?

ずっとずっと考え続けて、私が出した答えは、

ダメな自分を自分で認めてあげる

ということでした。

私にあの目標は達成できない。

とても誰々さんの真似ができるような実力はない。

傍目に見たら低い努力レベルだけど、自分なりに頑張った。

自分なりに頑張ったんだから、負け犬ではない。

今度はもっと低い目標から始めればいい。達成できる目標から、少しずつ。

自分は馬鹿なんだ、ダメ人間なんだ、と卑下するのではなく、馬鹿は馬鹿なりに、ダメ人間はダメ人間なりにできることを頑張るそれでいいじゃん?

もちろん、もっと頭よかったらなあと思うし、ダメ人間で情けないと思う。
でもまあ仕方ないよね、人の道にも外れずそれなりに頑張ってるし、それでいいよね、私?

…というのが、私なりの“可能性のよき断念”の解釈でした。

 

そんなこんなで、半世紀。

私はすっかり、いい加減でテキトーなオバサンになりました(笑)

心を病む前の、真面目で自分のことが嫌いだった20代、30代の自分が今の自分を見たら「絶対にああはなりたくない!!!」と言うでしょうww

今でも自分のことはそんなに好きじゃないけれど、若いころよりはずっと楽に生きられるようになりました。
そしてあの頃の自分が愛おしく思います。

よく頑張っていたね、えらいぞ。

微塵もそうは思えなかったあの頃の自分に、今なら心からそう言ってあげられます。

 

抽象的な書き方が多くなってしまいましたが、なんで病んだのか辺りは、また別の機会に書きたいと思います。

ではまた(^-^)/

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